子供の受験勉強はそんなに

大人から見れば、子供は働かなくてもよいから気楽だと思いがちですが、現代の子供は、我々が思う以上に余裕がないのが普通です。というのは、一部の子供たちは小学校に入る前から、受験戦争の真っ只中に放り込まれるからです。特に有名私立小学校に入るためには、小学校受験のための塾もあるくらいで、その指導内容はどうあれ、そんなに小さな時から、特殊な訓練を施されることに対して、疑問を持たざるを得ないのです。もちろん様々な習い事やスポーツであれ、3、4歳から始めなければその後の進歩が期待できないものもあります。ただしいわゆる学校の勉強とそれ以外の習い事との違いは、後者が、嫌になったらやめることが出来るのに対し、勉強の場合は、嫌になったからといって、簡単にやめることが出来ないところではないでしょうか。現在有名校と言われる学校は、ほとんどが将来いわゆる有名大学に進学することを目的としています。いうまでもなく、大学以上で学ばれる学問は、すべての人が学ばなければならないものではありません。簡単に言えば、その方面に特に関心のある者、或は才能のある者が学べばよいのであって、本質的にはスポーツや芸術の才能と変わらないのです。したがって、何年後かに入学するであろう大学に向けて、幼稚園の頃から受験戦争に巻き込まれるのは、本質的に学問に向いていない者にとっては、マイナスの効果を生む可能性の方が強いのです。もちろん、こうした受験競争の波を乗り越えられるか否かは、子供の性格にもよります。一定の年齢に至って、自分の志向を自覚した場合、安定した性格の子供なら、そこで学問を続けるか否かの決断をするかもしれません。しかし危険なのは、本来学問の才能が不十分であるにも拘わらず、無理な勉強を続け、その結果性格的にも情緒的にも、非常に不安定になってしまう子供でしょう。いわゆるキレたという状態になるのは、小学生の時かもしれないし、ある人は高校生、或は大学生になってからかもしれません。いずれにしても、子供が受験戦争に突入する場合、本人はもとより、周囲の者がよく観察をして、精神的な問題が生じていないか、どこか無理をしていないかどうかを、定期的に確認する必要があるでしょう。